2015.07.07 (Tue)


ギリシャ財政危機 4紙の社説検証


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ここでも対立した産経・読売と朝日・毎日

 ギリシャの財政危機に対してチプラス政権は国民投票というポピュリズム政治でおのれの失政を誤魔化そうとしたと6日に書き、毎日新聞の視点がおかしいとも書いた。
奇しくも今朝の各紙社説はギリシャ問題を扱っており、その視点違いが面白いのでご紹介する。
一言で言えば、読売・産経はギリシャの自助努力の欠如を批判し、朝日・毎日はEUの主要国である独仏の責務と指導力を求めた。

相変わらずこの2紙同士の対立が見られるのは面白い。
基本的に、朝日・毎日は弱者優先の視点であり、読売・産経は法を守らない弱者を批判し制度・伝統を守る視点とでも言うべきか。

産経新聞は「破綻回避の責任は第一にギリシャ側にある」とし、チプラス首相の国民投票実施と勝利宣言は「典型的な大衆迎合主義だ」と批判した。
Ponkoの視点とまったく同じである。

⇒産経新聞(2015/7/7)
【主張】ギリシャ国民投票 反緊縮で「勝利」得られぬ


 財政危機のギリシャ国民にとって、真の「勝利」につながるとは到底思えない結果である。
 欧州連合(EU)などが求める財政再建策の賛否を問うた同国の国民投票は反対多数となり、チプラス首相が勝利宣言した。「反
緊縮」の民意を盾にEU側と強気の交渉に臨む考えだ。
 ただ、破綻回避の責任は第一にギリシャ側にある。投票結果を理由に痛みを伴う改革から逃れるのではEU側の理解を得られまい。結果的に苦境に立つのは自国民だと強く自覚すべきだ。
 支援策がまとまらないまま、財政破綻に追い込まれる事態は許されない。EU側も迅速な打開に向けて協議を加速してほしい。
 チプラス首相は、年金減額や増税が盛り込まれた再建策をEU側の「脅迫」と位置づけ、それを拒むことが民主主義の勝利なのだと訴えてきた。だが、首相は民主主義をはき違えていないか
 再建策の中身を詳細に説明しないまま、国民の緊縮疲れに乗じて主張を押し通そうとした手法は典型的な大衆迎合主義だ。政権による扇動といってもよかろう。
 このままではギリシャは欧州中央銀行(ECB)などへの借金返済に応じられない。年金支給や銀行救済に充てるため、独自通貨
を発行し、ユーロから離脱する恐れも一気に現実味を帯びた。
チプラス政権は今後、EU側に緊縮策の緩和を強く迫るとみられるが、反対多数の投票結果で有利な立場になったと捉えるべきではない。首相は厳しい現実を認識して交渉する必要があろう。
 EU側は、支援の前提である再建策が拒否された以上、容易に歩み寄れまい。債権国側の首脳から「ユーロ圏にはほかに18カ国の民主主義もある」と、ギリシャの身勝手さへの批判が出たのは当然だ。ギリシャに振り回されて譲歩すれば、財政基盤が弱い他の南欧諸国で「反緊縮」が広がりかねないとの懸念もあるはずだ。
 欧州の動揺は世界経済の大きなリスクである。国民投票を受け、金融市場では大幅な株価下落やユーロ安となった。統一通貨ユーロの信認維持が重要なことも忘れてはなるまい。
 債務返済期限の延長なども検討課題だとする国際通貨基金(IMF)の報告もあるが、重要なのは、支援する側の納得が得られる
かどうかである


(引用終わり)

読売新聞も「国民投票の結果について「民主主義の勝利」と位置付けたのは、あまりに見当違い」「国民投票に丸投げした」
とチプラス首相を批判。
産経新聞では触れなかった中国やロシアのギリシャへのアプローチを警戒し、EU側にも事態打開を求めている。

⇒【社説】読売新聞(同上)
ギリシャ危機 国民投票は悲劇の幕開けか


 ギリシャ国民は、自らの手で悲劇の幕を開けてしまったのだろうか。
 欧州連合(EU)などが示した構造改革案の受け入れを巡るギリシャの国民投票で、反対が6割を超え、賛成を大差で上回った。
 金融支援再開の条件であるEU案が退けられ、合意は一段と難しくなった。
 ユーロ圏各国は7日の首脳会議で対応を協議するが、安易な妥協は自国民の反発を招きかねない。交渉の行き詰まりでギリシャが本格的な債務不履行(デフォルト)に陥り、ユーロ圏離脱を迫られるシナリオは現実味を増した。
 チプラス首相が、国民投票の結果について「民主主義の勝利」と位置付けたのは、あまりに見当違いと言わざるを得ない。
 そもそも、複雑な外交交渉の決断を、国民投票に丸投げした手法に大きな問題がある。
 チプラス政権はEU側との交渉中に突如、国民投票を決めた。国民への周知期間は1週間ほどで、あまりに短かった。
 反対票が多数を占めれば、EU側に譲歩を迫る強い交渉力が得られると唱え、国民に誤った期待を抱かせたことも看過できない。
 ギリシャでは既に、銀行預金の引き出しが制限されている。欧州中央銀行(ECB)が緊急支援を打ち切れば、銀行の資金繰りが
行き詰まる綱渡りの状況にある。
 EU側との対立が激化した際のマイナス面を、国民に十分に説明しなかったのは無責任だ。
 独自の通貨を発行し、資金不足をしのぐ選択肢もあるが、ユーロ圏離脱への第一歩を踏み出すことにつながる。信用力のない通貨が暴落し、生活必需品の多くを輸入に頼るギリシャが、深刻なインフレに見舞われる恐れもある。
 国民をさらなる苦境に追い込んではなるまい。チプラス政権は反緊縮に拘泥せず、35億ユーロに上る国債の償還期限が来る7
20日までに現実的な妥協を図るべきだ。
 EU側も、交渉の窓口を閉ざすことは得策ではない。
 東京市場の平均株価が一時500円以上も急落するなど、金融市場に悪影響が広がっている。
 スペインやイタリアで反EU政党が勢力を強め、ユーロの信認を揺さぶる懸念がある。安全保障上の要衝にあるギリシャがロシアや中国と関係を強め、地政学的なリスクが高まることも心配だ
 欧州発の危機を再燃させ、経済や政治の安定に深刻な打撃を与えないよう、EU側も事態打開に最善を尽くさねばならない。


(引用終わり)

朝日新聞はチプラス首相が国民世論を背景に「EUに改革案の見直しを求めるのは甘い」としつつも、「ドイツは通貨統合の恩恵を最大限に享受してきた」のだから最大限のギリシャ支援の負担をすべきだとドイツの責務の大きさを主張した。

⇒【社説】朝日新聞(同上)
ギリシャ問題―ドイツの責務は大きい


 欧州連合(EU)などが求める緊縮財政を強める改革案の賛否を問われた国民投票で、ギリシャ国民の多くが「反対」の意思を示した。
 ギリシャのチプラス政権は国民世論の後押しを支えに、再びEU側に改革案の見直しを求め支援交渉を有利に進めようと考えている。だが、それは甘い考えだろう。ギリシャに年金削減や増税などの厳しい改革を求めるEU側の姿勢は基本的には変わらないと見られる。
 とはいえ、お互いが歩み寄って交渉がまとまらなければ、ギリシャは今後も次々と迎える債務返済期限のどこかで債務不履行(デフォルト)に陥ることが確実だ。
 EU側がそれを放置すれば、ギリシャはユーロ離脱へと向かわざるをえなくなる。そうなれば、ギリシャ経済はもとより、世界経済の安定を著しく損なうことになりかねない。なんとしても避けるべきだ。
 国民投票が決まってからの1週間、ギリシャでは銀行休業で経済が機能しなくなった。国民は生活がままならず困窮している。チプラス政権は早くこの事態を正常に戻さなければならない。ユーロ離脱は状況をさらに悪化させ、国民生活の苦境を長びかせてしまうだけだ。
 ユーロ圏諸国(19カ国)にとってもギリシャが秩序なきデフォルトに陥り、離脱してしまうことのコストは高くつきすぎる。40兆円超の規模のギリシャ債務の多くはより返済が難しくなる。何より問題なのは世界の主要通貨であるユーロへの信認が損なわれてしまうことだ。
 財政が悪化した国の離脱がありうる、ということになれば「次の離脱候補はどこか」と金融市場で標的探しが始まる。そうなれば、前回の債務危機以上に深刻な危機となって世界経済に波及しかねない。
 ギリシャ国民の多くはユーロ離脱まで望んでいない。一方、他のユーロ圏諸国も問題の重大性を十分認識している。ならばやや急進的にすぎたギリシャの緊縮策の見直しに配慮しつつ、両者は早急に支援交渉をまとめるよう努めるべきだ。
 カギを握るのはユーロ圈の中核ドイツである。ドイツはもともと強かった輸出力を、ユーロ安でさらに強め、通貨統合の恩恵を最大限に享受してきた。その意味からも、経済の弱いギリシャのような国への支援で最も負担しなければならない責務がある。
 ユーロ分裂を避ける責任は、ギリシャだけでなく、ユーロ圏諸国、とりわけドイツにある


(引用終わり)

毎日新聞も朝日新聞の右にならえとばかりに、「サジを投げるな」「独仏が指導力を発揮せよ」とEUのリーダー国に注文した。

毎日新聞(同上)
⇒【社説】ギリシャの「ノー」 独仏は指導力の発揮を


 ギリシャの国民が、欧州連合(EU)などによる財政緊縮策に「ノー」を突きつけた。5日行われた国民投票の結果は、「賛成」39%、「反対」61%と予想外の大差だった。国民に反対を呼びかけていたチプラス政権は、「民主主義の勝利」などと自信を深めているようだ。
 しかし、正当性にも交渉上の効果にも疑問符が付く今回の国民投票に、果たして勝者など存在するのか。
 何といっても今回の国民投票は、有権者が具体的に何を問われているのか判断し難い内容だった。「6月25日の債権者側の提案」を受け入れるかという質問だが、10ページ以上ある提案を吟味して1票を投じたという国民がどれほどいただろう。
 一方、交渉半ばでの突然の国民投票実施決定や、運動期間中の非難合戦は、ギリシャと債権者側の信頼関係を著しく損ねた。
 EUをテロリスト呼ばわりし、攻撃的な交渉スタイルで知られるバルファキス財務相が辞任を発表したことで、進展を期待する向きもある。合意に不可欠な信頼回復の努力を特に求められているということをチプラス政権は肝に銘じるべきだ。
 だが、ギリシャ支援交渉が再開しても、もはや時間的余裕はない。これまでのような交渉の進め方では、早晩、ギリシャの銀行の現金が底をつき、政府が借用証書など事実上の国内通貨を発行せざるを得なくなる。ユーロ離脱が現実のものとなる。
 そうなる前に、大胆で新しい解決策が必要だが、それを提示できるのは、欧州統合を主導してきた独仏両国をおいてほかにない。
 ギリシャの債務危機が表面化して5年以上が経過した。財政緊縮策と追加金融支援をセットにした従来型の対応では、問題をより深刻化させるだけだ。ギリシャの債務残高は高止まりしたままで、大幅な債務カットや返済期間の延長なしに改善は見込めない。債権団の一角を成す国際通貨基金(IMF)がそれを認めている。独仏は、債務再編の議論をこれ以上、先送りすべきではない。
 金融市場が大混乱に陥っていないから、もうギリシャのユーロ離脱を認めても構わないのではないか。そんな声も広がってきたようだ。確かに、経済規模がユーロ圏全体の2%に満たないギリシャである。
 しかし決定的な問題は、あり得ないはずだったユーロ離脱に先例を作ってしまうことだ。小国への対応で今、サジを投げ、長い歳月をかけて実現させた通貨統合を崩壊へと導くようでは、あまりにももったいない。
 7日にはユーロ加盟国首脳らによる会議が予定されている。
歴史的視野に立った独仏の英断と指導力に希望をつなぎたい


(引用終わり)

対岸の火事を論ずる4紙の視点の違いは、いま焦眉の急である安保法制の成立に対してもある。
そのどちらが正しいか、この4紙の社説から判断してみるのも一興である。

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*Comment

朝日、毎日の逆が正解でしょう。

憲法9条が日本の安全を守ると考えている人々の言うことを聞くことが大
間違いです。
おっさん |  2015.07.07(Tue) 18:54 |  URL |  【コメント編集】

★これは弱者ビジネスと同じ

自助努力をろくにせず何でも他人のせいにして二言目には民意ガー。どこかで聞いたセリフだな。これでは某国と沖縄とそっくりではないか。親和性が高そうなので狙われるのは自業自得というものだ。

いずれ大量移民で乗っ取られるかロシアの強硬作戦に屈するのか?ユーロだけでなく欧州崩壊が目に浮かぶ。

またバカ2紙がこのような論調なのは来るべき某国の崩壊後のソフトランディングを狙っているのだろう。全ての思考回路は某国のためである。
零 |  2015.07.07(Tue) 23:33 |  URL |  【コメント編集】

★ドイツ公共放送ZDFの番組Berlin direktの特別番組【ギリシアのユーロ圏離脱前のギリシア】

里美です。

ドイツ公共放送ZDFの番組Berlin direktの特別番組【ギリシアのユーロ圏離脱前のギリシア】

Berlin direkt 28.06.2015 - 19.10
ZDF spezial: Griechenland vor dem Grexit
Wie geht es nach dem Stopp des Hilfsprogramms fuer Griechenland weiter? Das ZDF spezial "Griechenland vor dem Grexit - Schicksalstage in Europa" schaut auf die aktuellen Ereignisse des Tages. [mehr auf zdf.de / heute.de]
http://www.zdf.de/ZDFmediathek/beitrag/video/2429916/Berlin-direkt-vom-21.-Juni-2015?setTime=1.199#/beitrag/video/2434442/ZDFspezial:-Griechenland-vor-dem-Grexit

【注】
1. ドイツ公共放送局は、ARD [Arbeitsgemeinschaft der Rundfunkanstalten Deutschlands] と ZDF [Zweites Deutsches Fernsehen] の2局です。両局とも左翼路線であるため、ドイツの売国政党のドイツ社会民主党[Sozialdemokratische Partei Deutschlands, SPD]、ドイツのマオニスト政党の同盟90/緑の党[Buendnis 90/Die Gruenen]などの左翼路線諸政党を取り上げまくっていることを念頭において、両局の各番組を視聴して下さい。とにかく、どんな国のどんなマスコミ各社も、自らの政治思想路線へ誤誘導する傾向があります。それゆえ、あらゆる国のマスコミ各社の各番組の放送内容を丸ごと信じないことが重要です。
2. トルコと経済財政破綻人民シナ[共産シナ]は各々、ギリシャ乗っ取り併合を目論んでいます。経済財政破綻人民シナ[共産シナ]がギリシャを乗っ取り併合すれば、経済財政破綻人民シナ[共産シナ]もギリシャも両方とも、滅亡します。トルコがギリシャを乗っ取り併合すれば、トルコは、大オスマン・トルコ帝国復活の布石を構築することとなります。
3. ドイツ語の聞き取りの特訓に使って下さい。
敦子 |  2015.07.08(Wed) 10:14 |  URL |  【コメント編集】

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