2015.01.08 (Thu)


「安倍官邸の正体」を読んで

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安倍政権123安倍官邸の正体 田崎史郎

 TBS「ひるおび!」で伊藤惇夫氏(政治エコノミスト)と並んで政局解説をするコメンテーターの田崎史郎氏(時事通信社)が安倍官邸を中心に取り上げている。

田崎氏の解説は必ずしも全てが正しく予想が当ると言うわけではないが、情報量と政局の読みにおいて伊藤氏を凌駕しているようにいつも見える。

 本書は安倍首相の失意の辞任から再起までの経緯や、安倍首相を取り巻く政治家や官僚の動きをドキュメンタリー風に纏めているが、国のリーダーは如何に大変な仕事であるか、安倍首相がその重責を如何に果たしているかが分かる。

著者は基本的に現政権の容認派ではあるが、とは言っても必ずしも安倍首相ヨイショ本ではない。

政界の虚々実々、首相と取材する政治記者との駆け引きなどリアルで面白く、一気に読み終み切ってしまった。

そのなかで印象的な部分を独断と偏見でピックアップしてみると・・・

「安倍は小泉には発信力では劣る。しかし、『安倍さんのためなら何でも汗をかく』という同志には恵まれている」

 最高栽判事の人事は「日弁連」の推薦を得て最高裁が首相の了解を得るという従来のプロセスはフリーパスだった。
しかし安倍首相は複数の候補者を要求し、女性判事を選んだ。

「官僚の体質を知っていたからだろう。安倍は再就任早々、霞が関を震撼させた。人事権を行使したのである。新聞にはベタ記事にしかならなかった。それでも、官僚は異例の人事に畏怖した」(63頁)

小渕優子と松島みどりのダブル辞任はダメージを最小限にして成功だった。

「官邸は当初、松島の「うちわ」問題は乗り切れると判断していた。しかし、訳の分からない答弁をしたために不信感を持った。松島は、官邸と法務省が質問を前日に察知し、内々に作成した答弁要領通りに応えなかった。いかに振りつけても、松島はその通りにしないかもしれない。れでは早晩、国会で立ち往生すると判断した」(84頁)

「安倍は松島の『東大出身、元朝日新聞記者、選挙での苦労人』という外形に惑わされたのではないか。安倍にしては珍しく『人』が見えていなかったと言える」(85頁)


と厳しい。
松島の容姿や立ち振る舞いと元朝日新聞記者の前歴から用心した筈だが、推薦人の口車に乗ってしまったのか。

読売・産経と朝日・毎日・東京の対立は周知の事実だが、読売と産経の首相インタビュー回数が突出している。

「これに対し、『読売、産経は安倍政権の露払い役』などと揶揄する向きがある。私はそうは思わない。最高権力者である、時の首相が何を考えているか、今後何をしようとしているかなどをできるだけ早く国民に伝えることが私達メディアの責務だと考えるからだ。伝えた上で、批判するなら批判すれはいい。他紙を見て首相の意向を知るのは恥ずかしいことだと私は思う」(87頁)

しかし、読売新聞は「小渕幹事長で調整」と報じ、官邸のリークだとされたが誤報だった。

「安倍をウォッチしていて、大胆さを通り越して神経が相当図太くなったと感心した」(96頁)

安倍氏が天皇陛下による首相認証式の直前に、スタンバイする野田元首相に「野田さんも二度目をやれますよ」と声を掛けたと言う。

「その傷心のどん底にある時に、二度目をやれるというのは傷口に塩を塗り込められるようなものだ。それを平然と口にする安倍の神経は相当、太いと言わざるを得ない」(98頁)

案外、安倍首相は野田前首相を慰め、励ます積りだったかもしれない。

 Ponkoは安倍首相がまだ幹事長になりたての頃、講演会を聴いたことがある。
ブログにも書いたと思うが、公明党の教育の考え方について批判していた。
(首相になってからは公明党批判は無いから、あれが最後だったか)
講演を終わってスタッフ(SP?)に取り囲まれて降りて行く安倍氏の背中に向かって「早く総理大臣になって下さい」とつぶやいたことがある。

「安倍は座談の名手である」
「安倍は相手を不快にさせないコツも心得ている」(118頁)


著者は自民党の総裁選を間近にして安倍氏と会食したが・・・

「あの手この手で(立候補するのか)聞いたものだが、まったくカンが付かなかった。(中略)しかし、安倍が臭いすらかがせなかったことに対する怒りはまったく湧かなかった。むしろ本音を隠し通したことに感心した」(122頁)

「安倍は発言するTPOを知り尽くしている政治家だ。(中略)『本音を言わない』『腹の内を見せないというと陰険とか権謀術数に長けているという評価につながる。でも陰険、権謀術数は悪いことなのか。むしろ、指導者にとってはなくてはならない要素ではないか」(124頁)

「幹事長人事に関する安倍と石破の駆け引きをみると、政治家の器量において、安倍の頬が上回っていた」(126頁)


と安倍礼賛がつづくなか・・・

「安倍は憲法改正に本格的に取り組む時期を15年9月の自民党総裁選で再選された後と考えている」(140ページ)

と予測する。

著者は安倍首相が一昨年12月に突然靖国神社を参拝したのは強硬保守の思いを汲んだためであり・・・

「私の取材では、安倍は強硬保守とは一線を画している〉(163頁)

著者自身は周囲が押し止めたにもかかわらず靖国神社参拝を強行した安倍首相を疑問視している。

 安倍首相は第一次政権の挫折から多くを学び、奇跡的な復活に至る。

本書の中で、一番印象に残ったのは、政治家としての命を完全に断たれたかに見えた総理辞任から、次第に元気を取り戻していく一政治家としての姿である。
外出すら出来なかった失意の中、周りの人に勧められて気分転換に外出すると、行く先々で行きずりの人達に励ましの声を掛けられた。

当時、マスメディアは「政権を放り出した」と連日のように批判していた時である。

安倍氏は次第に元気を取り戻して行った。

Ponkoが思うに、敗者や失意の人にたいする日本人の優しさ、思いやりが安倍氏の復活の原動力になったのだと思う。

勿論、本書には触れられていないが、安倍再起を願う渡部昇一氏、金美齢氏、稲田朋美氏ら数多くの人たちが居た。

 再起を狙う2009年の選挙では雪の降る中、一軒一軒訪れて選挙運動をした。子供にまで一枚、一枚名刺を配ったと言う。その数は2万枚。
その名刺を持って子供が安倍氏を自宅に連れて行き、個別訪問が出来た。

総理経験者がそこまでやるのは恥ずかしいという支持者からの非難の声もあったが、総理経験者のメンツも捨てて続けた。
その結果、安倍氏は衆院選山口4区で文字通り圧勝した。
自民党自身は政権の座から転落したが、得票率が64.3%に達し、民主党候補と闘った選挙区でトップだった。2位は鳥取1区の石破茂だった。

余談ながら民主党政権が如何にいい加減だったについても厳しく指摘している。

「鳩山由起夫が(2009年)9月16日に首相として華々しく登場した。しかし、『朝礼暮改』のごとく発言が揺れ、首相としての器がすぐに知れ渡った。直前に会った国会議員や官僚の意見に左右されることが分かり、鳩山への意見具申は先を争うのではなく、"後を争って"行なわれるようになった」(48頁)

沖縄基地の二転三転に・・・

「この話を聞いて愕然とし、脱力感に襲われた。この程度の認識で、長年の懸案だった普天間基地移設問題が決着すると思っていたのか・・・。そして脱力感は次第に怒りに変わった」(50頁)

菅直人については・・・

「そら恐ろしい事だが、国民の負担を倍にするような話が首相のひと言で動き出してしまう。本人もそれが政治主導だと思い込んでいるのが菅政権の内実だった」(48頁)

「私は国会議員を取材して35年になる。(中略)・・・鳩山由紀夫も菅直人もそうした官邸運営のイロハができていなかった」(51頁)


 今回、民主党の代表戦に立候補した長妻昭が母子加算の復活を求めて、秘書官を外して官邸に乗り込む個人プレーをした。鳩山総理はそれをのみ、官邸が無秩序な「駆け込み寺」になってしまったとか。

当時、みのもんたがTBS「朝ズバッ!」で毎日のように母子加算の復活を叫んでいたことが思い出される。

 安倍首相は「戦後レジームからの脱却」を声高に叫ぶことを止め、経済再生に励んでいるかのように見える。
しかし、愚民が目を覚ませば憲法改正への道を急ぐに違いない。
そう期待している。

安倍官邸の正体(田崎史郎 講談社現代新書 2014年12月 800円+税)
【目次】
序 章「政局を読む力」を養うために               

衆院解散の内幕/参考にしたのは「死んだふり解散」/総選挙の本質とは/財務省の凄まじい「ご説明」攻勢/公明党の都合

第1章 安倍官邸の「構造」と「正体」              

1 最高意思決定機関としての「正副官房長官会議」
            
報じられない非公式会議/隠し廊下を通って集結/祖父・岸信介の写真/政権運営の奥義/「朝会」で世論の動向を注視/安倍官邸「最大の特徴」/小泉と安倍との違い/政権によって異なる官邸の意思決定システム

2 一次政権の皺鉄から編み出した「官僚支配の手法」

国会議員の宿命/民主党政権の内実/一次政権「失敗の本質」/「チーム安倍」の解体/安倍官邸のキーパーソン/官邸は「異質な職場」/今も語り継がれる「長妻厚労相事件」/霞が関を震憾させた人事

3 問題閣僚への処遇の変化と読売・産経重視の姿勢            

相次ぐ辞任で弱体化し一次政権/今も引きずる後悔の念/テレビにどう映るかを計算/進退判断に影響する野党の対応/本当は相次いでいた問題発言/人事は永田町の摂理/「ダブル辞任」を演出/突出する読売と産経のインタビュー回数/民主党政権唯一の成果?

第2章 一次政権とは何が「違う」のか            

1 ゴルフの回数が「激増」した理由
                    
繊細にして大胆/「野田さんも二度目をやれますよ」/眠るために体を疲れさせる/砕け散った自信と誇り/『文芸春秋』編集者からの手紙/「政治家として終わった」と見られていた日々

2 ひた隠しにしていた「再登板への渇望」  

雪の日の戸別訪問/再起に導いたテレビ出演/意外な一面/本当に重要なことは1~2人にしか話さない/再起への執念

3「美しい国」路線を引っ込めた背景                   

「反省ノート」に記されていた人事の要諦/「戦後レジームからの脱却」を封印/財務省・日銀への不信感/憲法政正に取り組む時期/集団的自衛権容認までの経緯/「族を以て族を制す」

4 安倍はなぜ靖国参拝を強行したのか

靖国神社参拝は失敗/「強硬保守」への配慮/大切にしたい天皇陛下のお言葉/安倍は『愛国的現実主義者』

第3章 安倍官邸の実力と問われる真価 
            
1 安倍を支える政権の参謀・菅義偉

地方から這い上がった苦労人/何か「すぐれている」のか/カンが外れたことも/稀代の仕事師/失言が少ない理由

2 実現させた政策とその舞台裏
                     
東京五輪招致の内幕/プーチンと密談/方針転換/官邸VS宮内庁/皇室の「政治利用」に当たるのか/宮内庁幹部を批判する政治家への違和感/面従腹背を貫く「官庁の中の官庁」/官邸に屈した財務省/関係者が小躍りした「新三原則」の閣議決定/「平和国家」はどこへ

3 今後の不安要素と「ポスト安倍」 
    
2018年まで続く/ポスト安倍は石破が軸/宿願は教育改革/一内閣一官房長官で

おわりに  

引用・参考文献/第一次安倍政権発足後のおもな政界の動き

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