2012.05.29 (Tue)
原発再開は野田首相の責務
表層民意は無視せよ
最も信頼できる評論家の一人、葛西啓之氏(JR東海会長)が今日の産経新聞朝刊のコラム記事で、原発再稼働について正論を述べているのでまだお読みでない方のためにご紹介する。
葛西氏はかねてから、原発再稼動に反対するのも結構だが、それによって日本の経済が衰退し、中国はおろか韓国にも抜かれる、それでも良いという覚悟があるのかと国民に問うていた。
今回は中立的な立場から一歩踏み出して、明確に原発は再開すべきだと論じている。
ネットニュースでは「再稼働がリーダーの使命」と題していたが、新聞では「エネルギーの死活問題 認識を」とトーンダウンした見出しとなった。
事故発生後、政府は原発再稼働の必要性を説き、原発パニックを防ぐべきであった。
しかし政府の対応は真逆であった。
自然エネルギーで代替可能という幻想を振り撒き、「表層民意」は脱原発から反原発に転じた。
国民の説得は一年前より困難になってしまった。
政府は実情を明らかにし、電力の値上げも止む負えない、みずから責任を取ると表明すべきである。
というのが主旨であるが、「表層民意」という新しい表現が面白い。
民意などというものは所詮表面的なものであるから「深層民意」を洞察して国民を導くのがリーダーシップだという。
たしかに「表層民意」は偏向したマスコミに操作されたものであり、それに基づいてリーダーが行動すれば国を誤る。
テレビで街頭アンケートを放映しているが、あれこそまさにB層の「表層民意」である。
がれきの受け入れに反対して輸送車を止める行動も「表層民意」である。
原発事故発生から一年以上経っても立ち直れない日本は明らかに民主党政権の責任である。
昨日、菅前首相は責任逃れの弁明に終始し、国民を唖然とさせた。
国民の選択が間違っていたことを再び知らされたのである。
産経ニュース(2012/5/29)
JR東海会長・葛西敬之 再稼働がリーダーの使命
夏季の電力需給への危惧が強まっている。国民に苦い薬を処方するときは、弥縫策と綺麗ごとを言い続け万策尽きた時に初めて本音を出すというのが日本的な常套手段である。この余りにも日本的なやり方を1年間続けてきたことの棚卸の時期を政府も国民も迎えている。平時はともかく、今回の原発事故のような非常時においては政府はいかに厳しくとも現実を直視し、具体的で実効的な対策を最初から国民に告げるべきだった。今回の事故に際して最も本質的で死活的な課題は良質の電力を、産業競争力を持てる価格で十分に安定的に供給し続けることである。
日本経済の活力は製造業の競争力に、製造業の競争力は電力の安定供給に懸かっている。そして安全性を確保した上で原発を最大限活用する以外には、高品質な電力をリーズナブルな価格で安定的に供給することは不可能である。災害の復旧や被災者への十分な支援は勿論のこと、国民生活の維持がすべて原発の速やかな再稼働による経済力の維持という一本の蜘蛛の糸にぶら下がっているのである。初動として政府はこの冷厳な現実を国民に告げ、原発パニックになってはならないと訴えるべきだった。「教訓は生かす。安全性を一層強化する。そして無傷の原発はすべて稼働させる。それ無しに国民生活の維持は不可能である」と明言し、政府を信頼するよう訴えかけるべきだった。それこそが真に民意に沿うことだった。
ところが政府が事故直後に取った行動はその対極だった。事故が収束するまでは原発の必要性を言うべきではない。あらゆる努力をしても、当面は原発への依存は避けられないという型を整えるべきだと考えたのである。自然エネルギーなどで原子力の代替が可能だという幻想を振りまいているうちに「表層民意」は脱原発から反原発へと自己成長した。今、1年の大衆迎合路線の後、政府は万策尽きた形で、化石燃料の輸入増分の値上げと原発の再稼働という本音を打診し始めた。この1年間で国民に浸透した反原発の空気も、東京電力がすべて悪く電力料金の値上げは困るというムードも、政府自らがまいた種であり、国民の説得は1年前よりもさらに困難になった。
「本音は万策尽きた最後に」という日本型のコンセンサス手法は、非常時には全く通用しない。今からでも遅すぎることはない。この1年間に重ねてきた綺麗ごとを清算して、「無傷の原発は最大限稼働させなければならないし、今回の教訓を踏まえ、今後政府は安全に全責任を持つ」、「輸入増になった燃料の対価は東電合理化によるコストダウンでは賄えず、電力料金で回収するしかない」、「電力自由化は長期的な検討課題である」と、すべてを本音で単刀直入に語りかけるべきだ。
そもそも、「民意」というものは意向調査などで分かりはしない。自分が何を望んでいるのかは潜在意識の奥底によどんでおり、自分でも分からない場合が多い。その「深層民意」を洞察し、つかみ出すのがリーダーシップである。また、自らの目で事実を直視し、合理的で正しい目標を定め、それを具体化し、人々を牽引するのも非常時のリーダーの使命である。
政府の覚醒を期待している。
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最も信頼できる評論家の一人、葛西啓之氏(JR東海会長)が今日の産経新聞朝刊のコラム記事で、原発再稼働について正論を述べているのでまだお読みでない方のためにご紹介する。
葛西氏はかねてから、原発再稼動に反対するのも結構だが、それによって日本の経済が衰退し、中国はおろか韓国にも抜かれる、それでも良いという覚悟があるのかと国民に問うていた。
今回は中立的な立場から一歩踏み出して、明確に原発は再開すべきだと論じている。
ネットニュースでは「再稼働がリーダーの使命」と題していたが、新聞では「エネルギーの死活問題 認識を」とトーンダウンした見出しとなった。
事故発生後、政府は原発再稼働の必要性を説き、原発パニックを防ぐべきであった。
しかし政府の対応は真逆であった。
自然エネルギーで代替可能という幻想を振り撒き、「表層民意」は脱原発から反原発に転じた。
国民の説得は一年前より困難になってしまった。
政府は実情を明らかにし、電力の値上げも止む負えない、みずから責任を取ると表明すべきである。
というのが主旨であるが、「表層民意」という新しい表現が面白い。
民意などというものは所詮表面的なものであるから「深層民意」を洞察して国民を導くのがリーダーシップだという。
たしかに「表層民意」は偏向したマスコミに操作されたものであり、それに基づいてリーダーが行動すれば国を誤る。
テレビで街頭アンケートを放映しているが、あれこそまさにB層の「表層民意」である。
がれきの受け入れに反対して輸送車を止める行動も「表層民意」である。
原発事故発生から一年以上経っても立ち直れない日本は明らかに民主党政権の責任である。
昨日、菅前首相は責任逃れの弁明に終始し、国民を唖然とさせた。
国民の選択が間違っていたことを再び知らされたのである。
産経ニュース(2012/5/29)
JR東海会長・葛西敬之 再稼働がリーダーの使命
夏季の電力需給への危惧が強まっている。国民に苦い薬を処方するときは、弥縫策と綺麗ごとを言い続け万策尽きた時に初めて本音を出すというのが日本的な常套手段である。この余りにも日本的なやり方を1年間続けてきたことの棚卸の時期を政府も国民も迎えている。平時はともかく、今回の原発事故のような非常時においては政府はいかに厳しくとも現実を直視し、具体的で実効的な対策を最初から国民に告げるべきだった。今回の事故に際して最も本質的で死活的な課題は良質の電力を、産業競争力を持てる価格で十分に安定的に供給し続けることである。
日本経済の活力は製造業の競争力に、製造業の競争力は電力の安定供給に懸かっている。そして安全性を確保した上で原発を最大限活用する以外には、高品質な電力をリーズナブルな価格で安定的に供給することは不可能である。災害の復旧や被災者への十分な支援は勿論のこと、国民生活の維持がすべて原発の速やかな再稼働による経済力の維持という一本の蜘蛛の糸にぶら下がっているのである。初動として政府はこの冷厳な現実を国民に告げ、原発パニックになってはならないと訴えるべきだった。「教訓は生かす。安全性を一層強化する。そして無傷の原発はすべて稼働させる。それ無しに国民生活の維持は不可能である」と明言し、政府を信頼するよう訴えかけるべきだった。それこそが真に民意に沿うことだった。
ところが政府が事故直後に取った行動はその対極だった。事故が収束するまでは原発の必要性を言うべきではない。あらゆる努力をしても、当面は原発への依存は避けられないという型を整えるべきだと考えたのである。自然エネルギーなどで原子力の代替が可能だという幻想を振りまいているうちに「表層民意」は脱原発から反原発へと自己成長した。今、1年の大衆迎合路線の後、政府は万策尽きた形で、化石燃料の輸入増分の値上げと原発の再稼働という本音を打診し始めた。この1年間で国民に浸透した反原発の空気も、東京電力がすべて悪く電力料金の値上げは困るというムードも、政府自らがまいた種であり、国民の説得は1年前よりもさらに困難になった。
「本音は万策尽きた最後に」という日本型のコンセンサス手法は、非常時には全く通用しない。今からでも遅すぎることはない。この1年間に重ねてきた綺麗ごとを清算して、「無傷の原発は最大限稼働させなければならないし、今回の教訓を踏まえ、今後政府は安全に全責任を持つ」、「輸入増になった燃料の対価は東電合理化によるコストダウンでは賄えず、電力料金で回収するしかない」、「電力自由化は長期的な検討課題である」と、すべてを本音で単刀直入に語りかけるべきだ。
そもそも、「民意」というものは意向調査などで分かりはしない。自分が何を望んでいるのかは潜在意識の奥底によどんでおり、自分でも分からない場合が多い。その「深層民意」を洞察し、つかみ出すのがリーダーシップである。また、自らの目で事実を直視し、合理的で正しい目標を定め、それを具体化し、人々を牽引するのも非常時のリーダーの使命である。
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テーマ : 政治・経済・時事問題 - ジャンル : 政治・経済
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