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2023.05.24 (Wed)


広島サミット閉幕 各紙社説を検証する


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やはり産経新聞が・・・

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産経新聞はゼレンスキー大統領の言動に焦点を当て、ゼレンスキーが「ロシアを最後の侵略者に」と発言した事は台湾有事を見越したものだ」と指摘したのは正しい。
産経新聞が他紙のように通り一遍の「社説」ではなくて「主張」としていることの所以でもある。

産経新聞(2023/5/23)
【主張】ゼレンスキー演説 勝利へ不屈の覚悟示した


「ロシアを最後の侵略者にしなければならない。そのロシアの敗北の後に、平和のみが栄えるようにだ」

先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)に対面参加したウクライナのゼレンスキー大統領の血を吐くような世界への訴えかけだった。

ゼレンスキー氏は、平和記念資料館(原爆資料館)を視察した後の演説で「全焼したウクライナの街は広島の街、原爆資料館を訪れたときに見た写真に似ている」と述べ、再建された広島にウクライナの将来を重ねた。

一連の発言は、侵略を続けるプーチン露大統領に対する勝利へ不屈の覚悟を示し、力による現状変更は金輪際許さないとの強固な連帯を促した。世界は重く受け止めねばならない。

ゼレンスキー氏は、G7首脳との全体会合では自ら「10項目の和平提案」を示し、いの一番に「放射線・核の安全」を挙げた。

ウクライナは1986年にチェルノブイリ(チョルノービリ)原発での史上最悪の放射能事故に見舞われた。プーチン政権は核攻撃の威嚇を繰り返し、ロシア軍は今も南部のザポロジエ原発に居座っている。ゼレンスキー氏が被爆地広島から直接、核使用・威嚇へ強い警告を発した意義は大きい。

演説でゼレンスキー氏は「ロシアが占領する領土を、一片でもロシアに与えてしまったら、国際法は決して機能することはない」と語り、全占領地の奪還を宣言、和平提案では「露軍の撤退と戦争行為の中止」を迫った。

ウクライナ軍の反転攻勢が取り沙汰される中、バイデン米政権は北大西洋条約機構(NATO)加盟国が米国製F16戦闘機をウクライナに供与することを認めると発表した。

現実の引き渡しは操縦士の訓練などを経た何カ月も先になる見通しだが、米欧側が、ウクライナへの軍事支援を長期にわたって続けていく意思表示ともいえる。歓迎すべき決断だ。

「ロシアを最後の侵略者に」とのゼレンスキー氏の発言は台湾有事を見越したものともいえる。

中国は「台湾は内政問題だ」と言い張り、「武力行使を放棄しない」姿勢を示している。強引な台湾併吞(へいどん)は、ウクライナ侵略と変わらぬ力による現状変更だ。世界は決して容認しないと中国は知るべきだ。


読売新聞は解説調だ。
ゼレンスキー大統領に焦点を当て、最後は台湾情勢と支那の脅威で結んだのは正しい。

読売新聞(2023/5/22)
サミット閉幕 国際秩序守る強い決意示した


世界の主要国とウクライナの首脳が一堂に会して、ロシアの侵略からウクライナを守り、国際秩序を維持する決意を示した意義は大きい。これを国際社会の結束につなげたい。

 広島市で開かれた先進7か国首脳会議(G7サミット)が3日間の討議を終え、閉幕した。ウクライナのゼレンスキー大統領も参加し、支援の強化を求めた。

 昨年2月のロシアの侵略開始以降、ゼレンスキー氏がG7サミットに対面で出席したのも、アジアを訪問したのも、初めてだ。

◆反転攻勢前の電撃訪日

 ウクライナは、ロシアに占領された領土の解放を目指し、大規模な反転攻勢の開始に向けて大詰めの準備を進めている。

 反撃が成功すれば、ロシア軍の撤収による停戦や、ウクライナの領土の回復につなげることが期待できる。逆に、成果が乏しければ米欧などの支援疲れを招き、侵略がさらに長期化しかねない。

 ゼレンスキー氏が遠路、日本を訪問したのは、戦況がこうした重要な局面を迎える中で、G7首脳と全世界に向けて支援を訴えかける必要があると判断したためだろう。

21日のG7会合でゼレンスキー氏は「問題は、我々が防空システムをいくつ持っているかだ」と述べ、追加の軍事支援を求めた。

 ウクライナが要望していた米国製の戦闘機F16は、欧州各国が供与する見通しとなった。

 西側はこれまで、ロシアを過度に刺激するとして、攻撃兵器の供与に慎重だった。侵略が長期化していることが、方針転換の理由だろう。F16の供与は、戦況を大きく変える可能性がある。

 ロシアは「事態をエスカレートさせる」と反発しているが、事態を悪化させている責任が、軍の即時撤収や停戦に応じない露側にあるのは明白だ。

ゼレンスキー氏は、バイデン米大統領や岸田首相のほか、対露制裁に加わらずに中立的な立場で存在感を強めるインドのモディ首相とも個別に会談した。

 訪日の直前には、同じく中立的なサウジアラビアを訪問し、アラブ諸国の首脳らに直接、ウクライナへの支持を呼びかけた。

 ロシアを撤収に追い込むには、「グローバル・サウス」と呼ばれる新興国などの幅広い協調を取り付けることが不可欠だ。

◆新興国との協調カギに

 新興国や途上国には、先進国への反発や、中露との軍事・経済関係の重視など、欧米と距離を置く個別の事情がある。
だが、ロシアの侵略のような、国際法を踏みにじる行動を容認すれば秩序が崩れ、自国の安全も将来、脅かされることになる。ゼレンスキー氏の悲痛な訴えを直接聞いた国々には、G7と協力し、対露制裁に加わってもらいたい。

 ゼレンスキー氏は広島平和記念資料館を訪れた。その後の記者会見で「原子力発電所を盾に、街を砲撃しているのはロシアだ」と非難した。被爆地・広島が復興したことにも触れ、ウクライナを再建させる決意をにじませた。

 プーチン露大統領は、ウクライナに核の脅しをかけている。ゼレンスキー氏やG7首脳が被爆地から発した様々なメッセージを、プーチン氏は重く受け止めるべきだ。

 G7首脳は、ロシアにウクライナからの即時・無条件の撤収を求めることを柱とした首脳声明を発表した。ロシアに武器を供給する第三国に支援の停止を求め、従わない場合は「深刻な代償」が伴うと警告した。

岸田首相は閉幕後の記者会見で、「G7とウクライナの揺るぎない連帯を世界に示すことができた」と強調した。

 日本は今年1年間、G7の議長国である。サミットで役割が終わったわけではない。折に触れ、オンラインで首脳会合を開くなど、指導力を発揮せねばならない。

◆台湾海峡の平和で一致

 サミットでは、覇権主義的な動きを強める中国への対応も主要な議題だった。首脳声明には、台湾海峡の平和と安定の重要性を再確認し、「両岸問題の平和的解決を促す」と盛り込まれた。

 台湾情勢を巡っては、米国との溝を認めるようなマクロン仏大統領の発言で、足並みの乱れが露呈していた。G7が認識の一致を確認した意味は小さくない。

 ただ、中国から地理的に遠い欧州では、対中経済関係を重視し、安全保障上の脅威に対する警戒心が薄い傾向があるのは事実だ。日本は、中国がアジアの平和と安定をいかに脅かしているか、欧州各国に訴え続ける必要がある。


朝日新聞は「ウクライナ支援は当然」だが、ゼレンスキー大統領の参加やバイデン大統領がEUのF15戦闘機供与を認めたことで「対ロ反攻を前に軍事面での支援に注目が集まった」と疑問を呈した。
ウクライナ戦争終結への道筋が見えないと批判したが、それは無理な話だ。

G7の限界とグローバルサウスについて触れ「どちらを選ぶか」と迫るのはダメだとも注文。

日本は支那と世界の「橋渡し」の役を務めろというがこれも無理な話だ。

最後は「まだ堵に就いたばかり」と苦言を呈した。

朝日新聞社説(同上)
(社説)広島サミット閉幕 包摂の秩序構築につなげよ


「過ちは繰返しませぬから」。広島の原爆死没者慰霊碑に刻まれたこの誓いを守り抜く覚悟が、花を手向けた各国リーダーにこれほどまで切実に問われたことはあるまい。

 それは、今起きている戦争を止めるため、未来に核の惨禍を起こさないため、包摂と対話の国際秩序を築く責任でもある。

 ■多様な国と関係築け

 グローバル化し、ますます複雑化する世界にあって、国境を越えて対処しなくてはならない課題は山積している。

 きのうまで広島で開催された主要7カ国首脳会議(G7サミット)では、ウクライナ情勢や核軍縮など世界の安全に関わる問題はもちろん、気候変動や人工知能、国際保健やジェンダーといった人々の生活に直接影響する分野まで、実に多くの議題が俎上(そじょう)にのぼった。

だが何よりも深刻なのは、秩序の守り手たるべき大国ロシアが始めた違法な戦争を、止める有効な手立てをとれない国際社会の現実だ。国連安全保障理事会は、常任理事国ロシアの拒否権で機能不全に陥っている。新興国も加わるG20もロシアの反対で一致した方向性を示せる状況にはない。

 であればこそ、自由や民主主義などの価値観を共有するG7の責務は重い。ロシアの違法な侵攻が続く限り「ウクライナを支援する」と首脳声明で言明したのは当然だ。

 だが、もう一つ、世界が直面する試練がある。G7だけで解決策を見いだすには、もはや限界があるという現実だ。

 主要国サミットが始まってほぼ半世紀。かつて世界の6割を占めたG7の国内総生産(GDP)は今は4割となり、影響力の低下は覆い隠せない。

 このため広島サミットでは、「グローバルサウス」と呼ばれる新興国や途上国との関係づくりに力点が置かれた。多様な国々のリーダーを招待し、サミット期間のほぼ半分を彼らを交えた議論に割いた。

 その成果はまだ見通せないが、今後のG7の方向性を示したとはいえる。ただし、陣営を分け、「どちらにつくか」と迫る手法では新興国・途上国の信用は得られまい。彼らの声に真摯(しんし)に耳を傾け、G7が自らの利害を超えて共通課題に本気で取り組む姿勢が必要だ。

 ■非核の道筋示されず

 ロシアが核の脅しを繰り返し、核戦争が現実味をもって語られる今こそ、被爆の惨禍を発信してきた広島でサミットを開く意味があったのは、いうまでもない。核保有国とその傘下の国の首脳が慰霊碑にこうべを垂れ、十分とはいえなくとも被爆の実相に触れた意義はある。

 だが、「核なき世界」の理想に向けて現実を近づける具体的な筋道は提示されなかった。首脳声明では「現実的で実践的なアプローチ」の名のもとに、核抑止の維持が正当化された。

 今まさに核の脅威下にあるウクライナのゼレンスキー大統領もサミットに参加した。G7がウクライナ支援で結束を固め直す機会になっただけでなく、国益重視の立場から対ロ制裁に加わってこなかったインドのモディ首相と会談するなど、G7以外の国々と直接意見を交わす場にもなった。

 一方、ゼレンスキー氏の訪日に先立ち、バイデン政権が米国製戦闘機をウクライナに提供することを認める方針を広島で発表するなど、対ロ反攻を前に軍事面での支援に注目が集まった感も否めない。戦争終結への道筋など大局に立った議論が聞かれなかったのは理解に苦しむ。

 ■日本は真の橋渡しを

 サミットの陰の主役は中国だったといえるだろう。東・南シナ海や台湾をめぐる情勢、人権問題から、豊富な資源を武器に他国に圧力をかける経済的威圧まで、首脳声明の多くが中国への懸念表明に割かれた。

 だが、最大の問題はG7の枠組みで中国と対話するチャンネルがないことだ。その意味で対抗一辺倒ではなく、「建設的、安定的な関係の構築」が首脳声明に盛り込まれ、気候変動など共通の関心分野で中国との協働がうたわれたのは光明だ。

 中国との対話を深めるG7の一層の努力が欠かせないが、中国も国際秩序を共に構築する責任を自覚する必要がある。

 岸田首相は今回のサミットのねらいを、「国際社会を分断と対立ではなく、協調に導く」と繰り返してきた。

 もはやG7だけで問題は解決できないことが明らかになった以上、日本はアジア唯一のG7メンバー国として、主要国と新興国・途上国、さらに中国を結びつける役割に、より本気で取り組むべきだ。

 国連やG20など、きしみが目立つ国際社会の枠組みを再生する努力に、より主導的に関与しなければならない。

 首相が最も力を入れたとする「核なき世界」への取り組みでも、今回、世界の関心を広島に向けさせた「実績」に安住してはならない。すべてが緒についたばかり、と自覚すべきだ。


毎日新聞はウクライナ問題を中心に・・・

「中国が仲介外交に乗り出している」と評価し・・・

「G7は広範な連携を求めるべき」

「G7は国際協調を復元し、『不戦の誓い』に再び魂を吹き込め」

というが、厳しい国際環境の中、土台ムリな話で絵空事である。

毎日新聞(2023/5/22)
国際秩序とG7 平和創出にこそ指導力を


ロシアの侵略を受け、核使用の脅しにさらされるウクライナ。戦時下の大統領が電撃来日し、被爆地を訪れた。世界に発した「不戦」のメッセージは重く、大きい。

 広島で開催された主要7カ国首脳会議(G7サミット)が閉幕した。インドなど招待された新興国や途上国も交えた討議のテーマは「平和」の希求である。

世界は混迷している。戦後の国際秩序は大きく揺らぎ、核の脅威が高まる。米国と中国の対立が激しさを増し、軍事的な緊張が軍備拡張競争を誘発している。

 資源価格高騰が襲い、先進国では景気後退の懸念が強まっている。グローバルサウスと呼ばれる新興国や途上国は食糧不足に苦しみ、債務の膨張にあえぐ。
ウクライナが試金石だ
 根源にあるのがロシアの軍事侵攻だ。ウクライナのゼレンスキー大統領は各国首脳と会談を重ね、ロシア軍を撤退に追い込むためにさらなる支援を求めた。

 G7は軍事を含むウクライナ支援の継続を表明した。米欧は戦車に続き、米国製戦闘機の供与も容認した。戦闘が今後、激化することが予想される。

ロシアに対して各国が結束し、対抗する意思を示した意義は大きい。ロシアと経済関係が深いインドのモディ首相も「戦争の解決に取り組む」と表明した。

国際社会では、長期化する侵攻に懸念を深める中国が仲介外交に乗り出している。米国とも協議しているという。G7は広範な連携を求めるべきだろう。

 経済問題では、「強固な世界経済の回復を促進」し、貧困の削減と気候変動への取り組みを加速させることで一致した。協力の幅を広げる必要がある。

 かつてG7は世界の国内総生産(GDP)の約7割を占め、「機関車」「船団」と称して世界経済をけん引した。今は4割台に下がり、中国の存在が際立つ。

 首脳宣言は、中国に対し、南シナ海や東シナ海での軍事的な活動に深刻な懸念を示し、台湾問題の平和的解決を促した。これに中国政府は強く反発している。

一方で、「中国の発展を妨げようともしていない」と指摘し、「建設的かつ安定的な関係を構築する」との姿勢を示した。敵対ではなく協調を視野に入れたものだ。

 中国は東南アジアやアフリカの国々とのつながりが強い。グローバルサウスの課題も中国の協力なしには解決できない現実に向き合わざるを得ない。

 G7が発信したもう一つのメッセージが「非核」だ。核保有国である米英仏と、米国の「核の傘」に守られる日独などの首脳がそろって原爆資料館を訪れた。

「不戦」を政治の使命に

 「核兵器を永久になくせる日に向けて共に進もう」とバイデン米大統領は記帳し、スナク英首相は「心を動かされた。暗い過去から学ぶことが重要だ」と発信した。

 惨禍を繰り返さないという思いはにじむ。ただし、成果とする核軍縮に関する共同文書「広島ビジョン」は、「核兵器なき世界」に近づく新たな策を示していない。

 ロシアの核による威嚇やその使用を「許されない」と非難し、中国を念頭に核政策の透明化や軍備管理交渉への参加を求めるなど、対立国に厳しい目を向ける。

 重要なのは、厳しい戦況を見極めつつ、停戦の糸口をどう見つけるかだ。討議に参加した招待国には戦争の激化を危ぶみ、交渉による早期停戦を望む声もある。

だが、中露を批判するだけでは解決しない。ほぼすべての国が加盟する核拡散防止条約(NPT)は核保有国の軍縮交渉義務を定めている。

 NPTが重要というのであれば、G7が自ら軍縮に動く必要がある。にもかかわらず米英仏はむしろ核兵器の役割を維持し、核抑止力を強化しているのが現実だ。

 今回のサミットの招待国の中には核兵器の廃棄を求める国もあった。そうした声に向き合って初めて「核なき世界」の信頼性は高まる。その覚悟は見えなかった。

 先の大戦では、おびただしい数の人々が犠牲になった。悲惨な記憶の上に平和を求めて築かれたのが今の国際秩序である。

 政治指導者の究極的な使命は戦争を起こさせないことにある。ロシアに踏みにじられたウクライナの惨禍を見れば明らかだろう。

 G7が主導すべきは、国際協調を復元し、「不戦の誓い」に再び魂を吹き込むことだ。


東京新聞は「核廃絶」の一点張り。
岸田首相は「核廃絶に政治生命を懸ける覚悟があるのか」と結んでいるが、読んでいない赤旗もおそらく同じ事を言っているに違いない。

東京新聞(2023/5/23)
<社説>首相とサミット 核廃絶の覚悟が見えぬ


G7広島サミットが終わった。被爆地に集った先進七カ国首脳が被爆の実相に触れ、「核兵器のない世界」への決意を共有したことは意義深い。とはいえ、G7自身の核保有を正当化した「広島ビジョン」には失望の声も上がる。
 ウクライナのゼレンスキー大統領の参加で、核廃絶・核軍縮より軍事支援での連携強化が際立ってしまった。岸田文雄首相主導の広島開催だったが、核廃絶の覚悟はいまだ見えてこない。

 被爆地・広島を選挙区とする首相が、核廃絶を大きな政治目標とするのは当然だろう。

安倍晋三内閣の外相当時、オバマ氏を現職米大統領として初めて広島に迎え、首相就任後の核拡散防止条約(NPT)再検討会議では「核兵器のない世界」に向けた五つの行動計画「ヒロシマ・アクション・プラン」を提唱した。

 核不使用継続の重要性共有▽核保有国への核戦力の透明性向上の呼び掛け▽核兵器数の減少傾向維持▽核不拡散と原子力の平和利用▽各国指導者らの被爆地訪問促進−からなり、広島ビジョンも同プランに沿った内容だ。サミットの広島開催は首相にとって同プランに基づく通過点にすぎない。

 国際平和に責任を持つべき国連安全保障理事会常任理事国であるロシアが核兵器使用に言及してウクライナを威嚇し、同じく中国が核戦力を増強する厳しい国際情勢で「核兵器のない世界」への道のりが険しいことは理解する。

ただG7が自らの核保有や核抑止力維持を前提とし、条件付きで核廃絶・核軍縮を訴えては、熱意が疑われて当然だ。それが広島からの発信ならなおさらである。

 被爆者らは広島ビジョンなど一連の成果文書が「核廃絶を求めていない」と批判する。首相や政府は反論するのではなく、批判に誠実に耳を傾け、核廃絶に向けた自らの行動を省みるべきである。

 日本は今年いっぱいG7議長国で、来年末までは国連安保理非常任理事国を務める。「核兵器のない世界」を目指す好機だ。首相が自らの言葉に違(たが)わず、核廃絶に政治生命を懸ける覚悟があるのか、厳しく問われるべき局面である。


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