2023.05.20 (Sat)
広島サミットの各紙社説検証
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マトモなのは産経と読売新聞だけ
各紙ともG7首脳が原爆資料館を視察し慰霊碑に献花した事を取り上げ核兵器の無い世界を標榜したのは当然だ。
しかし、その上で、産経新聞は「核の惨禍を避ける上で核抑止態勢の整備が必要」であり、岸田首相は中露を念頭に核の脅威から国民を守る手立てを講じろと注文を付けている。
正論である。
ただ新興国については論じなかった。
読売新聞も中露や北朝鮮のは米の核の傘の必要性を説いているが、最後に人工知能の規制も必要だと説き、焦点がボケてしまった。
朝日新聞は原爆を落としたアメリカのバイデンはどう思うのか詰問し、核兵器を保有する大国は招待国のグローバルサウスに耳を傾け自省せよとトンチンカン。
毎日新聞はヒロシマの現実を知ったG7首脳は悲劇を繰り返すなと、これもトンチンカン。
望月衣塑子の東京新聞も核無き世界にあらゆる手段を尽くせ、中露と対話せよと、これもトンチンカン。
産経新聞社説(2023/5/20)
サミットの開幕 国民守る核抑止も論じよ
先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)の初日、G7首脳が広島市・平和記念公園内の原爆資料館を視察し、被爆者と面会した。そろって原爆慰霊碑に献花した。
先の大戦末期、米国が広島と長崎に原爆を投下した。多くの人が死傷した。被爆で今も苦しむ人々がいる。
岸田文雄首相の働きかけにより、核保有国の米英仏を含むG7首脳が、悲惨な被害の実相を伝える展示を視察し、犠牲者を悼んだことは意味がある。
先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)の初日、G7首脳が広島市・平和記念公園内の原爆資料館を視察し、被爆者と面会した。そろって原爆慰霊碑に献花した。
先の大戦末期、米国が広島と長崎に原爆を投下した。多くの人が死傷した。被爆で今も苦しむ人々がいる。
岸田文雄首相の働きかけにより、核保有国の米英仏を含むG7首脳が、悲惨な被害の実相を伝える展示を視察し、犠牲者を悼んだことは意味がある。
岸田首相はサミット開幕に先立ち、「『核兵器のない世界』という理想を目指す機運が後退している。(サミットを)再び盛り上げる転機にしたい」と語った。
サミットは、この理想に向けた特別文書「広島宣言」を準備しているという。岸田首相主導の今回の訪問や「広島宣言」は内外で歓迎されるだろう。
ただし、それだけでは足りない。核の惨禍を避ける上で核抑止態勢の整備が必要な現実から目をそらしているからだ。広島サミットだからこそ、核抑止の重要性もきちんと論じるべきだ。
岸田首相は国民に、理想の追求と同時に核抑止も必要だと正直に説く必要がある。それなしには核の現実的な脅威に対処する緊急性への理解が国民の間で広まらない。周辺国の核の脅威が高まっている今、米国の核の傘など日本と国民を守る核戦力の充実が課題になっているのである。
ウクライナのゼレンスキー大統領のサミット対面出席が決まったが、侵略者のプーチン露大統領は核使用の恫喝(どうかつ)を重ねてきた。北朝鮮も同様だ。核武装した専制国家の指導者はG7が核廃絶の理想を語っても聞く耳を持たない。
人類の科学技術は、核ミサイル攻撃を確実に迎撃できる水準には程遠い。もし全核保有国が核を廃絶しても密(ひそ)かに核兵器を作る国や勢力が現れれば万事休すだ。
これらから、核兵器の脅威には自国または同盟国の核兵器で備える核抑止の態勢が欠かせない。そこで日米同盟や米韓同盟、北大西洋条約機構(NATO)が存在している。大量破壊兵器の生物・化学兵器の抑止にも核兵器が役割を果たしている。中露や北朝鮮は核戦力増強に余念がない。岸田首相には、厳しい安全保障環境を直視し、核の脅威から国民を守る手立てを講じてもらいたい。
読売新聞社説(同上)
サミット開幕 国際世論の形成を主導せよ
日米欧が新興国を交えて、侵略を許さないという共通の意思を表明できれば、国際社会で大きな力となろう。
広島市で先進7か国首脳会議(G7サミット)が開幕した。日本でのサミット開催は7回目で、2016年以来となる。
今回は戦時のサミットで、しかも、世界が核の脅威にさらされているという危機下での開催だ。
ウクライナのゼレンスキー大統領がきょう来日し、サミットに参加する方向だという。昨年2月のロシアによる侵略開始後、ゼレンスキー氏がアジアまで足を延ばすのは初めてである。
◆露の制裁逃れどう防ぐ
国際秩序の回復に向けて、サミット議長国の日本が果たすべき役割は、極めて重い。
初日の討議を終え、G7首脳はウクライナ問題に関する首脳声明をまとめた。ウクライナの求めに応じて「財政、人道、軍事的支援」を継続するとともに、「ロシアの戦争を支援する者に対するコストを増加させる」と明記した。
ウクライナに平和を取り戻すには、ロシアの戦争遂行能力を低下させることが不可欠だ。対露制裁の抜け穴になっている国に対し、G7が一致して制裁に加わるよう説いていく必要がある。
同時に、ロシア軍の撤収や停戦実現に向け、国際社会全体にウクライナとの連帯を広げたい。
第1次石油危機後の1975年、世界経済の混乱回避や、通貨の安定をテーマに始まったサミットにはいくつかの節目がある。
79年の旧ソ連によるアフガニスタン侵攻を受け、翌年からは政治問題が議題に加わった。旧ソ連崩壊後の97年から2013年まではロシアが参加し、G8首脳会議が開催された。
2000年以降は新興国などを招待することが慣例となり、今年はインドやブラジル、アフリカ連合(AU)議長国のコモロなどの首脳も来日する。
近年、グローバル・サウスと呼ばれる途上国・新興国の影響力は無視できなくなっている。
昨年3月の国連総会では、140か国超が対露非難決議に賛同したが、新興国の多数は棄権した。植民地時代の歴史があり、欧米と距離を置いているのだろう。
今回のサミットは、新興国との協調が極めて重要となった。
◆新興国との協調不可欠
国際社会で外交や軍事力、経済力がものを言うのは当然だが、国際世論を形成することの大切さも忘れてはならない。
日本は長年、政府開発援助(ODA)などで多くの新興国を支援し、良好な関係を築いてきた強みがある。新興国に法の支配の重要性を訴え、欧米との橋渡し役を務められるのは、日本だろう。
(ODAをつぎ込んで支那を化け物にしてしまったのは日本政府である)
岸田首相はそうした認識を持ち、議論を主導する必要がある。大国が力ずくで領土を奪うことを見過ごせば、新興国も無傷でいられなくなる可能性があると訴え、侵略行為に世界が一致して反対する姿を示す機会とすべきだ。
首相は、原爆被害の資料を展示している広島平和記念資料館にG7首脳を案内した。
7か国の首脳が、そろって被爆の実相を伝える施設を訪問したのは初めてだ。核使用がいかに悲惨な結果をもたらすか、認識してもらえたのではないか。
核を巡る状況は危機的だ。ロシアは今年に入り、米露間の核軍縮の枠組み「新戦略兵器削減条約(新START)」の履行を停止した。中国も核弾頭数を増やしている。北朝鮮の核開発と、相次ぐミサイル発射も大きな脅威だ。
厳しい現実を直視すれば、米国が核戦力を含む軍事力で同盟国を守る「核の傘」は、日本など同盟国にとって欠かせない。
安全保障環境を考慮しながら、段階的に核軍縮を進めるのが現実的なアプローチだ。米露に中国を含めた、新たな軍縮の枠組みを設けることも提唱していきたい。
◆生成AIの規制が急務
今回のサミットでは、生成AI(人工知能)の規制も大きな論点だ。生成AIは、利便性に注目が集まっているが、安易な活用は人の思考力を低下させかねない。
人間の尊厳や倫理に関わる技術について、これまでも国際社会はルールを設けて対応してきた。
核開発には、核拡散防止条約(NPT)や軍縮の枠組みがある。クローン技術の人への適用は、国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)の宣言などに基づき、各国が法律で禁じている。
生成AIが社会にもたらす影響を軽視してはならない。国際ルールを構築することが急務だ。
朝日新聞社説(同上)
広島サミット 歴史の教訓 今に生かせ
筆舌に尽くせぬ原爆の歴史にこうべを垂れ、いま起きている凄惨(せいさん)な戦争の出口を探り、今後の世界秩序を考える。半世紀近い主要国サミットの歩みのなかで、今回ほど重大な使命が課せられた会合は異例である。
G7首脳会議がきのう広島で始まった。経済、安保、食料、保健など世界が直面する幅広い分野を21日まで話しあう。
まず問われるのは、歴史の教訓を現在の世界にどう生かすかだ。被爆地の証言を原点に、紛争を平和的に解決し、核戦争の破局を防がねばならない。
各首脳らは広島平和記念資料館(原爆資料館)を訪れ、約40分間を過ごした。案内役を務めた松井一実・広島市長によると、全員「神妙な表情」だったというが、何を思い、考えたのか。首脳らの肉声を聞きたい。
とりわけ原爆を投下した米国のバイデン大統領には、ぜひとも自らの言葉で語ってもらいたい。各国とも、この広島で見聞した惨状は決して過去のものとは言い切れぬ現実こそを直視すべきである。
いままさにその脅威にさらされているウクライナのゼレンスキー大統領も、来日による対面参加が調整されているという。大戦後の欧州で起きた最大規模の紛争の当事国であり、G7が自らの足元の戦禍に苦悩するのも異例のことだ。
きのう発表した首脳声明は、ウクライナへの軍事面を含む支援の継続やロシアへの制裁強化などを約束した。「即時、完全かつ無条件の撤退」を求めるなかで、頻繁に言及されているのは「第三国」の存在である。
声明はロシアに協力する国への懲罰を示唆する一方、戦争の余波で食糧難などに苦しむ国々との連帯を強調している。ここに、今回のG7が迫られたもう一つの課題が見える。「グローバルサウス」と呼ばれる新興・途上国との関係づくりだ。
ロシアの侵略を国際法違反とみる国は多いが、G7が発動した制裁に加わるのは限定的で、今回の招待国インドやブラジルなども同様だ。各地の紛争や貧困などにあえぐ国々の多くは、G7対ロシア・中国という対立軸に冷めた目を向けている。
G7はこれまでも途上国の重債務問題や開発支援などで関与をうたってきたが、ウクライナ戦争で学ぶべき教訓は、法の支配による国際秩序を築くうえでも新興・途上国の協力が欠かせないことであろう。
G7は今回の招待国との対話で謙虚に耳を傾けるべきだ。中ロを含む少数の大国が、世界を破滅させるほどの強大な核戦力を抱え、覇を競うことがいかに愚かなことか。広島の地で、その自省をすべきではないか。
毎日新聞社説(同上)
ヒロシマとG7首脳 被爆者の思い胸に行動を
主要7カ国首脳会議(G7サミット)が広島で始まった。被爆地での開催は初めてだ。核廃絶への転換点にしなければならない。
参加した首脳はそろって原爆資料館を訪れ、被爆者と対面した。2歳で被爆し、白血病のため12歳で亡くなった佐々木禎子さんが病床で折った鶴に関する説明に耳を傾けた。
核を巡る世界情勢は厳しさを増している。ウクライナに侵攻したロシアは核を脅しに使い、中国も核戦力を増強する。北朝鮮は核・ミサイル開発を加速している。
そんな中、ひとたび核が使われると、どんな惨禍がもたらされるのか。核保有国と、米国の「核の傘」に守られた国々の首脳が直接見聞きした意義は大きい。
第二次世界大戦の終結から78年となる。G7首脳はバイデン米大統領を除き、戦後生まれだ。惨劇の遺品などを目にして、どんな思いが胸に去来しただろうか。
マクロン仏大統領は、資料館の芳名録に「広島の犠牲者を記憶する義務を果たし、平和に向けて行動することが私たちの責務だ」と記した。
「核兵器のない世界」の実現に向けて、広島・長崎という被爆地の存在感は高まっている。海外の首脳らが原爆資料館を訪れることも増えている。
背景には、被爆者たちが差別と闘い、国連の軍縮会議などの場に出て、国際社会に体験を語り続けてきた取り組みがある。
2016年にオバマ元米大統領を迎えた故・坪井直さんらが呼びかけた署名は、全世界で1370万人以上に達し、核兵器禁止条約の誕生に大きな役割を果たした。
だが、道のりは遠い。G7は核禁条約に加盟していない。安全保障環境の悪化を受けて、核抑止力を強化する動きが広がっている。
被爆者らは今回のサミットが、少なくとも核軍縮に向け、「新たなメッセージの発信の場」となるよう求めてきた。
首脳らへの説明役を務めた被爆者の小倉桂子さんは「ヒロシマの現実を見てもらう夢がかなった」と語った。
被爆の実相に触れたG7首脳は、そうした思いを受け止め、悲劇を繰り返すことのないよう、行動に移さなければならない。
ノーモア広島は米国との核共有でしか実現出来ない。
東京新聞社説(同上)
広島サミット 「核なき世界」の起点に
G7広島サミット(先進七カ国首脳会議)が開幕した。核兵器を保有する米英仏三カ国を含むG7首脳が被爆地に集まった意義は大きい。これを起点に、核軍縮・核廃絶に向けた機運を再び高める努力を、岸田文雄首相はじめG7首脳に求めたい。
核兵器の非人道性は、被害の規模や爆発の威力を数字で示しただけでは十分に伝わらない。多数の市民が一瞬に、あるいは苦しみながら命を失い、今も後遺症に悩む被爆者がいる。こうした「被爆の実相」を理解するには、被爆地への訪問が欠かせない。
G7首脳がそろって爆心地に近い平和記念公園を訪れ、短時間とはいえ、原爆資料館を視察し、被爆者と言葉を交わしたことは評価したい。続く原爆慰霊碑への献花までの一連の行動は、核兵器を使ってはならないとの力強いメッセージになった。
初日夜の討議は核軍縮・不拡散がテーマだった。ウクライナに侵攻したロシアによる核の威嚇、核兵器の不使用を続ける重要性、透明性を欠いた中国の核戦力増強などが当面する課題だ。
ただ、基本的価値観を共有するG7が合意を文書にまとめるだけでは核軍縮は進まず、中ロ両国を巻き込んだ対話が必要だ。
しかし、中ロも加わる核拡散防止条約(NPT)再検討会議は二〇一五、二二年の二回連続で決裂した。米ロ二国間の核軍縮の枠組みは崩壊が危ぶまれ、米朝、米イラン間の核協議も頓挫したまま。G7も含む国際社会は核抑止をより重視するようになった。
岸田首相も十八日のバイデン米大統領との会談で、米国の「核の傘」は地域の安全保障に不可欠との認識で一致した。米国の核抑止力に依存しながら「核なき世界」を目指すのは容易でないが、唯一の戦争被爆国である日本が、けん引役を務めるのは当然だろう。
首相が核兵器禁止条約の加盟国と核保有国との「橋渡し役」を担おうとするのなら、条約へのオブザーバー参加を早期に決断すべきである。核廃絶への道を歩み出すには、あらゆる手段を尽くさなければならない。
望月衣塑子の東京新聞は「中ロ両国を巻き込んだ対話が必要」などと絵空事を主張している。
話し合えば解決するような相手か。
日本もアメリカとの核共有を目指して対抗すべきである。
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