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2014.03.01 (Sat)


「正義の喪失 反時代的考察」長谷川三千子

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正義の喪失

 安倍首相の推薦でNHKの経営委員となった長谷川三千子埼玉大学名誉教授の過去の著作から再構成した本書は、長谷川氏の思想信条を知ることができる貴重な本である。
旧かなづかいで書かれているので慣れない方は最初読みづらいかも知れないが、そのうち慣れてくる。

 安倍首相は第一次政権の時「戦後レジームからの脱却」を唱え、「美しい国 日本」と言って叩かれた。
第二次政権ではそのような旗印を掲げることを控え、「地球儀外交」や「積極的平和主義」を掲げている。
しかし、安倍首相の本音は第一次政権の時と変わりはないと信じている。

安倍首相が昨年暮れに靖国神社に参拝したことで中韓は大騒ぎし、アメリカも「失望」を表明した。
渡部昇一氏やヘンリー・ストークス氏が大東亜戦争はアジア解放の戦争であったと指摘しても、まだ耳を傾ける人は少ない。

戦後の米占領軍による日本人の洗脳ブログラム「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム」(WGIP)の効果は70年を過ぎた今でも日本人を金縛りにしているのである。

長谷川三千子氏は「正義の喪失」(平成7年)で「戦争と正義」について書いている。
下手な解説を加えるより、そのさわりの一部をご紹介し、興味が湧いた方は是非本書を読んでいただきたい。

【正義の戦争】

「およそすべて戦争は『正義の戦争』である。自らの主張を『正義』として掲げ、その正義を実現するために戦ふ、といふ意味において、すべて戦争と呼びうる限りのものはすべて『正義の戦争』である」

【勝者の正義】

「ここから、ある必然的な帰結が生じる。すなはち、戦争といふ力と力のぶつかり合ひに勝つた者が『正義』を手に入れ、それに敗れたものは『正義』を失ふ、ということである。これこそは、まさに古今東西を通じての普遍的な戦争の基本ルールとも言ふべきであつて、日本でも『勝てば官軍、負ければ賊軍』といふ言葉が、この基本ルールをそのまま言ひあらしてゐるのである。

(昔の戦争は物理的な戦利品が多かったということから・・・」

「戦後の勝者の物理的戦利品が減少すればするほど、それに反比例して、その精神的戦利品は大きいものとならざるをえない、といふ一般法則が成り立つとすれば、賠償金取り立ての苛酷の度が減れば、その分だけ、勝者の『正義』の誇示は著しいものになるはずである。そして、事実、第二次大戦後の勝者の『正義』は第一次大戦後よりはるかに大規模に、また強烈に誇示されたのである」

「先に述べたとほり、今回は、連合国側も過度の賠償のとり立てはかへつて自らにはねかへつてくる結果を招くことを学んだ。その結果、領土、賠償金といつた物理的な戦利品の要求はひくい水準におさへられることになつた。その代はりに、『合国の正義』の強調は、第一次大戦後とは比較にならねほど大規模なかたちで行はれたのであった。すなはち、日本の場合には、それは七年間にわたるアメリカ軍の占領と、その期間を通じて徹底して行なはれ続けたJapanese "War Guilt"のキャンペーンであり、また、その頂点をかざるものとしての東京裁判であった。
 東京裁判のもつ意味とは、ひと言でいへば、連合軍の、『正義』をあたかも『本物の正義』であるかのごとくに確立するための必要不可欠の儀式であつたといふに尽きる

「第二次大戦の戦後処理の大きな特色の一つは、国民全体を咎あるものとする『国民責任論』がなりをひそめ、もつぱら、国の同社のみに責任がかぶせられるとする『指導者責任論』が主流となつたことであつた」

(Ponko注:そんな事とは露知らず、報復されなかった日本の国民はアメリカは寛容な国だと勘違いして、その分、戦争指導者への憎しみが増したのである。現在でもその勘違いは続いている)

「しかし、東京裁判の、いはゆるA級戦犯の裁判においては、問題となつてゐたのは日本の開戦そのものであつて、B級戦犯の裁判におけるやうな、戦時国際法に関する個々人の違反なのではなかつた。つまり言ひかえれば、『日本の正義』そのものが裁かれようとしたのである」

「事実、その法廷は、もう一時そこで双方の『正義』と『正義』がぶつかりあった、といふ意味で、まさに『戦争の延長』なのであった」

「いづれにしても、いかに弁護側が果敢に戦はうとも、この『延長戦』は逆転ホームランのありえぬ『延長戦』であつた」

「この時、いはば完全なかたちで『日本の敗戦』が確定したのだと言へる。つまり、戦勝者たちは、自分達の『勝者の正義』をリスクにさらしつつ、それを端的な『正義』へとすりかへることに、見事成功したのである。もちろん、言ふまでもなく、この東京裁判といふ『延長戦』は、それ自体が一種のゲームでしかない。言はば、白を黒に塗りつぶすために設けられ、実行された茶番にすぎない。けれども、戦争に勝つた者にはいかなるふるまひでも許され、負けた者は勝者のいかなる気まぐれをも耐えしのばなければならない、といふ古来の慣習に忠実な日本人たちは、そのルールに従つて、勝者たちが『勝者の正義』を『正義』にすりかへてしまふことすら許してしまつたのである。そしてこの時、日本人たちは完全に自らの正義を手放してしまつたのである

「しかし、もうそろそろ、こんな馬鹿馬鹿しい『勝者の正義』へのおつき合ひは止めるべき時であらう。われわれはきっぱりと、『勝者の正義』は『勝者の正義』以外の何物でもない、と語らなければならない。その時、われわれの『正義の喪失』は、「知性の喪失』とともに自ずと解消することであらう」

(Ponko注:長谷川氏がこの論文を書いた時は加藤典洋氏が「敗戦後論」という論文を少し前に雑誌に発表していたのを知らなかった。
加藤氏は先の大戦を侵略戦争だと認め、ドイツの戦争と同一視していることに異議をとなえ反論を追記している。
これを読めば、「ドイツは謝罪しているのに日本は謝罪していない」という中国の言い分や、「東條英機はヒトラーだ」という言い掛かりが根拠のないものだと分かる)


「正義の喪失 反時代的考察」 (PHP文庫) [Kindle版](2013/11/15) 570円
長谷川 三千子著

【内容紹介】

本書は「不思議な本」である。丸山真男氏の『「文明論之概略」を読む』を引きながら、「日本研究」のあり方を論考した第四章「難病としての外国交際~『文明論之概略』考」を発表したのは昭和六十二年。第六章の「フェミニズムといふ病理」にいたっては、男女雇用機会均等法が盛んに議論されていた昭和五十九年の論文である。しかし、平成も十五年を数える現在、収録されているどの論文を読んでみても、一向に「古さ」が感じられない。そこが、実に不思議なのである。この不思議さを醸し出している理由はただ一つ、表題にもなっている「正義」について、そのほかの「外交交際」「ボーダーレスエコノミー」「フェミニズム」などについての論考が、その時の時流に流されず、軸がぶれることなく、著者の思考が一貫しているからである。副題を「反時代的考察」としは、著者の意図を表明といってよいだろう。時流に流されぬ論考。まさに文明論の王道を往く一冊だ。

【内容】(「BOOK」データベースより)

戦後、われわれが失ったものは、「正義」だけではなかった。世界の動きを的確に把握する眼力を失ってしまったのである。「戦争」と「正義」という言葉に対する認識、そして国際貢献、グローバリズム化した経済、「男女雇用機会均等法」による男女平等…。本書は、われわれが安住する社会に満ちた欺瞞を鋭く暴く、超一級の文明論である。文庫化に際して第三章「われわれの正義はどこに?」を収録。

【目次】
文庫本へのまへがき

まへがき

第1章 正義の喪失
第2章 国際正義の罠―日本にとっての湾岸戦争
第3章 われわれの正義はどこに?
第4章 難病としての外国交際―『文明論の概略』
第5章 ボーダレス・エコノミー批判
第6章 フェミニズムといふ病理
    (一)「男女雇用平等法」は文化の生態
    (二)愚か也、男女雇用機会均等法
    (三)辛抱の美徳
    (四)「文明病」としての少子化現象
    (五)「男女平等社会」の落し穴

あとがき

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2014.03.01 (Sat)


週刊現代も長谷川三千子氏バッシング

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香山リカも蓮舫も女性の敵と総攻撃

 長谷川三千子埼玉大学名誉教授の「男女共同参画」「フェミニズム」への批判に対して、同じ女性がムキになって批判している。
万を超える書籍を読み、思索を深めている哲学者の長谷川三千子氏を相手にして、精神病の、もとい、精神科医の青山リカとか民主党の「二番ではダメなんですか」の蓮舫とか、当グログの「バカ女シリーズ」にたびたびご登場頂いている軽重浮薄な女性たちが束になって掛かっても敵わないのだ。

「〈女性の一番大切な仕事は子供を生み育てることなのだから、外に出てバリバリ働くよりもそちらを優先しよう。そして男性はちゃんと収入を得て妻子をやしなわねばならぬ〉」(1月6日付、産経新聞より)

という至極もっともな長谷川氏の主張に対してエッセイストの酒井順子などは・・・

「そんなことを言うなら、子供を持たない安倍首相を批判せよ。少子化と人口減少という国家の非常時に、首相が子供無しという状態でいいのか。(中略)側室にでも産ませて安倍家の血を残せ、国民に範を示せ」

とメチャクチャである。
子供を持てない【昭恵さんの気持ちがわかるか】と言うが、単なるヒステリーである。

長谷川氏は夫婦別姓、婚外子への平等な遺産相続、ボーダーレスエコノミー(今で言うグローバリズム)にも反対している。
安易な「共生」にも反対している。
まさに保守の鑑である。

 その長谷川氏がアンチ安倍首相の100人くらいの女性の集会に単身で乗り込んできて、やりあったと言う。
馬鹿を相手にご苦労様だが、一度はガツンとやっておく必要がある。
どうせ長谷川氏の深遠な思想を理解できるような女性集団ではないが。

 長谷川氏の古い論文を集めて新しい考察を加えた「正義の喪失 反時代的考察」は昨年11月に読み始めたがまだ読み終えていない。
アマゾンのKindle版で570円で読める。

いかにも馬鹿馬鹿しいが、週刊現代の記事の要旨をご紹介する。

週刊現代(3月1日号)
「女は家で子育てしろ」って、したくてもできない人がいるんです 
長谷川三千子 埼玉大学名誉教授 安倍ブレーンのとても変な女性評論家

「女は子供を生み育てるのが仕事」「今上陛下は神になられた」?
安倍総理の「応援団」を自任する女性ブレーンの主張だ。
妻の声には耳を貸さない総理の行く末が、ますます心配になってくる。

【昭恵さんの気持ちがわかるか】

「女性の社会進出の歴史をよくご存知のはずの長谷川さんのような方が、あえてこうした主張を述べていることには驚きを隠せません。単に知識のない人が言うのとはわけが違う。
そもそも、男女共同参画という考え方は、女性は働いても子育てをしてもいい、男性だけでなく女性も、自分の生き方を自分で決められるような社会を作ろうという趣旨なのです。
これまで世界中の女性たちが、自立した人生を獲得するために努力してきた。長谷川さんの発言には、その歴史をいっぺんにひっくり返そうというような印象を受けました」

こう違和感を寄せたのは、精神科医の香山リカ氏だ。

安倍総理の「お友達人事」が、大きな波紋を呼んでいる。総理の肝煎りで、NHKの経営委員に就任した人物が、問題発言を繰り返しているのだ。

(中略)

まさにその通り。結婚し、子供を生み育てるという行為は、他人から強要されるようなものではない。また、長谷川氏の主張するように子供を持ちたいと望んでも、それが叶わない女性も少なくないのだ。

(中略)

にもかかわらず、「女は子供を生み育ててナンボ」と言ってはばからない人物をNHKの要職に登用する安倍総理。総理と長谷川氏は、昭恵さんの、そして生みたくても生めない世の女性たちの苦悩を、理解しているのだろうか。

【反対集会に乗り込んできた】

先月22日に参議院議員会館内で行われた、戦争反対を訴える女性団体のシンポジウム。作家の落合恵子氏や社民党の福島みずほ参議院議員らが、憲法改正など安倍総理の政策に異を唱える発表をしたあとで、客席の女性が手を挙げた。

「皆さんがけしからんと言うと、ついつい『安倍応援団』と自称したくなるものですから……」

と切り出したのは、誰あろう長谷川氏その人だった。

シンポジウムに発言者として招かれていた、文筆家の北原みのり氏はその時の様子をこう証言する。

「長谷川さんは話し方も聞き方もすごく上手な方でした。笑みを絶やさず、ウンウンと頷いて話を聞く。『彼女は男の世界で、こうして生きて来られたんだろうな』という印象を抱きました。

何よりひとりであの場にいらっしゃったことが、すごいと思います。100人くらいの(安倍政権に批判的な)女性の集会に単身乗り込んできたわけで、よほど私たちは舐められているのか、国家権力とはそれほどのものなのか、と考えさせられましたね

(Ponko注:NHKの経営委員を国家権力とは大袈裟な。国家権力と言うよりも思考力の違い、頭脳の違いであろう)

不偏不党が求められるNHK経営委員という地位にありながら、政権と一体化するかのように「総理の応援団」と明言した長谷川氏。すぐさま会場からは反論が飛んだ。しかし彼女は、やはり静かにうなずきながら、それを聞いていたという。

保守派の論客として発言してきた長谷川氏は、「夫婦別姓は家族を破壊する」などの主張で一部に知られていた。昨年には、'93年に朝日新聞東京本社に乱入し、拳銃自殺した右翼活動家・野村秋介氏を讃える追悼文を発表している。

(中略)

今月5日にこの追悼文の存在が毎日新聞で報じられると、長谷川氏に対する批判は一層激しくなった。

【9・11テロは「神罰」】

「男は仕事、女は家庭」という男女の役割分担復活を、長谷川氏は本当に望ましいと考えているのか? 本誌記者が発言の真意を質したところ、彼女はこう声を荒らげた。

「それは一例を挙げたまでです。あなたは産経新聞の記事(2ページで引用した記事)や、私がこれまでインタビューで述べたことをちゃんと読んで理解しているのですか。あの記事の主旨は、どういうことだと考えていますか」

「あなたは私が言いたかったことをまったく理解していません。人口減少の問題はとても深刻で、このままでは日本という国が滅びてしまうという危機感を訴えたのです。問題をよく理解したうえで出直してください」

おかしいのは私の意見ではない、あなた方の知識と読解力だと言って、記者を叱る長谷川氏。

ここで、「私の主張をよく読んで理解せよ」という長谷川氏のアドバイス通り、彼女のこれまでの発言や著述を見てみよう。

(中略)

長谷川氏のような人物を重用する、安倍政権の真意とは何なのか。民主党政権で、少子化対策・男女共同参画担当大臣を務めた蓮舫参議院議員はこう懸念している。

「『女は家、男は仕事』という今となっては特殊な思想をもって、これまで先達が苦労して築いてきた世の中を別の方向へ導こうとしている。恐ろしいことだと感じます。
日本では'97年から、共働きのカップルが多数派になっています。'12年には、片働き世帯787万に対して、共働き世帯は1054万に達している。経済的事情から、共働きでなければ生きてゆけない国民が増えているという現実が、確かにあるのです。働きながら子供を育てたいという声を、政治が無視するわけにはいきません」

まさに時代錯誤

(中略)

「安倍家は政治家の家だから特別だ、とは言えないでしょう。女性たちそれぞれの境遇を顧みず、『女は家で子育て』と言って恥じない人物に重責を与えるのは、時代錯誤であると言うほかありません」

講演やNPO法人での活動、被災地支援などに日夜励む昭恵さん。それは原発問題などで日本の子供たちの将来を憂いているからこそだろう。
一方で、現実を直視せず、自分の非常識な発言を「常識を疑って見る目」と言って正当化する長谷川氏。彼女を重用し、妻の声に耳を貸そうとしない安倍総理は、よくよく考え直してみるべきだろう。

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